人類と気候の10万年史
人類がいなければとっくに氷期に入っていたもしれない。
世界一正確な年代が分かる堆積物がある水月湖
海洋研究開発機構の地球シミュレータ:地球の気候をまるごと再現し変化を計算できる
地球にとって何が正常か
寒冷と温暖を繰り返している
6億5千万年前、地球全体が氷河に覆われていた スノーボールアース
火山活動により脱する
氷期は10万年ごとに繰り返す
数十万年のスケールでは氷期のほうが多い
現代は不安定ななかでも例外的に温暖な時代
氷期の周期は地球の公転周期と一致
公転軌道は輪ゴムのように形を変えながら振動している
地球の公転が太陽を中心に円なら氷期、太陽の中心が地球に近い楕円でなら温暖期
円から楕円になる周期が10万年
また地軸の向きや角度も独自の周期で規則的に変動している
軌道要素と気候:ミランコビッチ理論
ミランコビッチ理論の魅力
意外性と予測可能性
人間の思考の癖
これまでの状況が今後も続くと考える線形モデル
変化には周期があり予測可能である周期モデル
直感は驚くほど脆弱な根拠に成り立っている
氷期の急激な温暖化:ダンスガード・オシュガー(D-O)イベント
発生する原因、周期は不明
予測できず突然やってくる
地球の公転も単純ではない
月や惑星間の重力引力
潮の満ち引きでおこる海底の摩擦はエネルギーを消耗して月を遠ざける
マントル対流は地球の重心位置を変化させる
落ちてくる隕石は公転軌道に影響を与える
複雑系、二重振子の挙動は数学的な予測が不可能
引き込みという同期現象
古気候学者の日常は地味、単調な分析の日々が何年も続くうえ、良い結果が得られるとは限らない
4℃の水が一番重い
放射性炭素年代測定:放射能を持つ炭素14の変化
どこまでも孤独な作業に耐える
愚直な作業には時間がかかる
基礎研究にとって当然のこと
気候を分類
分類するためには境界線を引く
引くには根拠、哲学が必要
植物景観:植物だけに注目した景色をもとに気候を分類した
この世界は超大な因果関係で成り立っている
夏の温度は太陽によって決まる
冬の温度は土地の熱の保持力で決まる
農耕や森林伐採など、人間の活動が氷期を遅らせている、それは100年前などではなく8000年前まで遡る
自然は、人間が引き起こすよりもっと激しい気候変動を発生させる
歴史的にみると1年の不作は対応できるが、3年以上は現代でも想定していない
狩猟採集民は自然が持つ多様性のなかから、その時に必要なものを調達する
現状に特化して進化した恐竜は、急激な変化に耐えられず絶滅し、適応力を持った哺乳類が生き延びた
人類の人口は、農耕と近代科学を前提とした数に増えている、狩猟採集に戻れない
戦場で活躍した人材の多くが、復員後の平和な社会では活躍できなかった
不測の事態を生き延びるには、想定し対策することではない
想定を越えて応用のきく柔軟な知恵とオリジナリティー持った個人と、思いがけない才能をいつでも活躍させることのできる多様性と包容力のある社会である
・麺類起源論争
・時を刻む湖
・西武試錐工業、北村