壬生義士伝
同僚から紹介された本。
p212
貧と賤と富と貴とが、けっして人間の値打ちを決めはしない。
人間たるもの、なかんずく武士たる者、男たる者の価値はひとえに、その者の内なる勇気と怯懦とにかかっているのだ。
p250
道化はな、曲芸師よりずっと芸が上手なんだよ。
誰よりも上手だから道化ができるんだ。
p315
何も戦にかぎらず、人生なんてそんなものかもしれません。
倒れていたらとどめを刺されるんです。
死にたくなかったら、立ち上がって前に出るしかない。
p377
他人の痛みはわかってやりながら、自分の痛みはけっして他人に悟らせようとしない。
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人の器を大小で評すならば、奴は小人じゃよ。侍の中では最もちっぽけな、それこそ足軽雑兵の権化のごとき小人じゃ。しかし、そのちっぽけな器は、あまりに硬く、あまりに確かであった。おのれの分というものを徹頭徹尾わきまえた、あれはあまりに硬く美しい器の持ち主じゃった。