東京原子核クラブ
読書感想文トラバ企画に参加です。
おすすめは戯曲本から「東京原子核クラブ」(マキノノゾミ著)。演劇を見たのがきっかけですが、非常に面白くて、この戯曲本を見つけて狂喜しました。
内容は物理学者・朝永振一郎をモデルに、下宿時代・戦争前後の苦しくも楽しい生活を描いたもので、下宿人たちが個性的で魅力的です。たとえばダンスホールでピアノを弾く博打好きの関西人・早坂は「博打で大勝ちした朝は、気分がいいさかいドビュッシーや!」なんて、見かけと中身のギャップが面白かったりします。
また主人公・友田の同僚の武山は、「朝までガイガー計とにらめっこだよ!」と自分の腕にまで計算式を書き込み、下宿に帰ってくると死んだように眠る(けどなかなか眠らせてもらえない)体育会系科学者。ほかにもまだまだ登場人物がいて、それぞれ物語のなかでエピソードをもっています。
欄外の補足事項も、舞台上での演出の工夫や苦労がしのばれてなかなか面白いです。
私の場合は一度見た舞台の場面を思い出しながら読み返しましたが、始めて読む方は登場人物を自分の好きな役者に置き換えてなど、想像力を駆使しながら読むと楽しめるのではないでしょうか?