誘拐報道
銀座シネパトスのレイトショー・萩原健一映画祭で放映された『誘拐報道』という映画をみてきました。
この映画、1980年に起こった宝塚市の小学生誘拐事件を描いた読売新聞大阪本社社会部の同名ドキュメンタリーを原作としたもの。
1982年(昭和57年)に公開され、第6回日本アカデミー賞で優秀主演男優賞・萩原健一、最優秀助演女優賞・小柳ルミ子、最優秀撮影賞・姫田真佐久を受賞しています。
この日、劇場には監督の伊藤俊也もプライベートで来られていて、急遽上映前の舞台挨拶、上映後には気さくにロビーで撮影の裏話までしてくださいました。
裏話で面白かったのが、監督というのは俳優の演技までコントロールしてるんだなぁということ。
セリフを憶えないけど撮影のなかで演技のテンションがあがるショーケン(萩原健一)と、セリフをきっちり憶えて演技にのぞむ優等生の小柳ルミ子。
ショーケンはテンションが上がりすぎると演技が「やり過ぎ」になり、小柳ルミ子はおとなしい。
そうした人間性の異なるそれぞれの役者から最高の演技を引き出したり、抑えたりする工夫をして撮影したという話でした。
あるシーンでは、本来「カット」がかかる場面でわざとカットをかけず、役者にその後の演技をまかせたそうです。劇中の「役」の気持ちから生まれる演技が計画していたワンシーン以上のものを生み出したとか。
またあるシーンでは、本来の大阪弁としてはメチャクチャでも演技の迫力でOKを出した、とか。
こうして優秀主演男優賞、最優秀助演女優賞を受賞できたんですね。
実はこうした映画の内容も受賞のことも知らなければ、特に萩原健一のファンというわけではなくて、職場の方から薦められて劇場も近いし値段も普通の映画より安いから、と軽い気持ちで見てました。
映画を見る前って、事前に予告や批評が入ってしまいがちですが、そいう事前情報を一切なしで見るのも映画を楽しむ方法の一つかもしれません。
余談ですが、友人から「銀座シネパトスならそんなに混まないだろう」と聞いていたのですが、開場15分前に到着したら入り口(写真の奥)からずらっと入場待ちの行列が。
あわてて整理券付きでチケット購入をしたら整理番号は87番でした。立ち見まではいかなかったものの、席はけっこう埋まった感じです。
この手の企画上映もなかなかあなどれません(^^;