ニュースの天才
大統領専用機内に唯一設置されているというニュース雑誌で、41の記事中27の捏造記事を掲載した実在の記者『ニュースの天才』の話です。
その才能は、決して嘘が上手かったわけではなく、ただ疑われない人格だったということ。他人がどんなことに関心があるか、どうすれば喜ぶかという周囲への気配りで、同僚から上司まで信頼を得、そしてなにより社会が一般大衆がもとめるニュースを提供する才能があったようです。
ではどうしてそんな嘘をついたのかといえば、虚栄心や出世欲よりも“一人になりたくない”という恐怖心、誰からも注目されなくことが怖かったようにです。嘘がばれたときの彼は、クビになることを非常に恐れていました。それは職を失うことよりも、誰にも必要とされなくなる、軽蔑されることが怖かったように思えました。